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マジャル・アヴァル同系説について

 投稿者:しい坊メール  投稿日:2003年 8月 1日(金)02時35分59秒
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   >四国男の日常さん

 現在ハンガリーという国家が存在するカールパート盆地には、マジャル人が征服定住してハンガリー使徒王国を建国する前に、様々な民族が国家を建設しておりました。ゲルマン人や騎馬民族の国家が存在していたのです。

 有名なのは、有名な騎馬民族フン族が建国したフンニア (Hunnia) です。しかし、フンニアは、アッティラ王が亡くなると、地図上から消滅してしまいました。(ちなみに、ハンガリー人の男性の名前 Attila は、こう書いて、実際の発音は、アティッラ [atilla] とします。ハンガリー語では珍しい表記と発音が一致しない例です。)フン族がカールパート盆地から消滅してしばらくすると、今度は、やはり騎馬民族のアヴァル族がカールパート盆地に侵入し、そこにアヴァル王国、アヴァリアを建国しました。しかし、アヴァリアも跡形なく消滅してしまいます。最後に登場したのが、やはり騎馬民族のペチェネーグ人から逃げてきたマジャル人でした。幸い、マジャル族の指導者は、フン族やアヴァル族が地図上から消えてしまった過去の教訓から、マジャル族を守ることに成功し、現在もハンガリー共和国が存続しています。

 ハンガリー人がカールパート盆地に侵入して国家を建国した事件を“征服定住”(ホンフォグララーシュ)と言います。数十年前にハンガリーのラースロー・ジュラが「二重征服定住説」という学説を発表しました。詳しい説明は控えますが、要するに、アヴァル族のマジャル族の間には考古学的な出土物を見ても、ほとんど違いがない、同じ文化を持っていたと考えられる。また、アヴァル族が痕跡を残さず消滅してしまったとは考えにくいということから、アヴァル族はマジャル族のカールパート盆地征服定住の先遣隊だったのではないか、要するに、アヴァル族とマジャル族は同族なのではないかという学説です。

 ラースロー・ジュラは、多くの証拠(と見られるもの)を挙げて、この二重征服説を主張しています。非常に面白い考え方です。ただし、これには、ルーマニア人の公式史観であるダキア=ローマ史観に対抗するものともみなされています。ラースロー・ジュラの学説が正しいと将来証明される可能性はありますが、現在のハンガリーの学界の定説とはなっておらず、ちょうど日本における騎馬民族説と似たような扱いを受けています。両方ともオーソドックスな学界からは“際物”扱いを受けているわけですね。

 本当のことはわかりません。将来、二重征服定住説がハンガリーの定説となるかもしれません。しかし、現在のところ、慎重に取り扱った方がよろしいでしょう。

http://bosei.cc.u-tokai.ac.jp/~hukaya_s/index.html

 
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