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> 主語-動詞型がインドヨーロッパ語に固有だと思っていたところ、
> そこで、ハンガリー語も動詞と主語の人称や数を一致させる事を
> 知って、確認したくなってお尋ねした次第です。
私は、印欧語族は詳しくなく、また他の言語も詳しくないので、どのような統語形態が世界では多数派なのか、あるいは普通なのかはわかりません...。
> >ハンガリー語の語順は 100 % 「主題-評言」に支配されてい
> >ます。
>
> 主題-表現型では必ず主題が先行するということは、どこかに
> 書いてあったと記憶していますが、そのことでしょうか。
「主題・評言」構造に関してはハンガリー語の国文法ではまだ定説はありません。それぞれの研究者達が(私も (^^;))勝手にそれぞれの理論を発表しているというのが現状です。その理由はハンガリー語では主題・評言が語順によって表現され、日本語のように明確な形態的なマーカーが存在しないために、議論が分かれてしまうのです。
一般的に主題は“古い情報”だとされますが、私の文法ではさらに“古い主題”というものまであります。古い主題は文頭には立ちません。先ほどの例で言えば、
■ 給仕が客に確認したときに、別の客が
— Kávé? 「コーヒー(はお客様ですか)?」
— Én vagyok a kávé! 「私がコーヒーだ!」
ですが、実は、Én vagyok a kávé! は「コーヒは私だ」とも訳せます。この会話の最初の Kávé? は「コーヒーは?」という“新しい主題”で、これは、評言部分が省略されていますが、明らかに文頭に立つものです。それに対してすでに“古い主題”となった2番目の文のコーヒーは文末に移動します。
実は、単純に文末に移動するというのではなく、ハンガリー語の構文は動詞を太陽系の太陽のようにして他の要素はその周りを惑星のように回るものだと私は考えています。ですから、一見(天動説では)メチャクチャに語の位置が移動するように見えるハンガリー語の語順は実は(地動説では)極めて単純明快な規則に則って移動するものなのです。(一般にハンガリーの言語学者は「ハンガリー語は語順が“自由”である」と主張していますが、学生時代に私は「語順が違うのであれば、必ずそれには必然的な機能があるはずで、自由な語順などと言うものは存在しない」という考えから、ハンガリー語の語順のアルゴリズムを解明する卒論を書いたのでした。)
> ハンガリー語を全く知らないので、事情がよくつかめません。
> 英仏語でも、主語-動詞型であって且つ文頭は、主語を原則的
> に置くという制約がありますが、おそらくその場合とは明らか
> に異なって、主語ではなく主題とわかる語が来ているのだと推
> 察いたしました。
ハンガリー語では主題・評言は一般に téma-réma と呼ばれますが、私は cím-hír という用語を創って充てています。ハンガリー語の場合は、動詞 (ige) を「評言核」(hírmag) と名付け、評言核、すなわち動詞の直前に、相手に最も伝えたい情報である「主評言」(főhír)(フォーカス?)が立ちます。主評言より前の句は、全て主題となります。主題は複数可能です。(日本語の例で言えば「私は、今日は、学校へは、行きます」のような例です。)ハンガリー語の構文は惑星構造 (bolygó-szerkezet) をしているのですが、その想定される基本位置(基本語順)を出発点として、主題と主評言を決めると、残りの句は動詞の後ろ側に移動します。しかし、軌道を越えて移動することはありません。(新しい主題となる句だけが軌道を越えて前方に出ます。)このことによって明確にハンガリー語の語順は規定できます。詳しくは以下の本をご覧ください:
Hukaya Sitosi: A Functional Analysis of Topic-Comment Structure in Hungarian — Contrasted with Japanese, in Contrastive Studies Hungarian-Japanese, Studia Comparationis Linguae Hungaricae, pp. 32-77, Akadémiiai Kiadó Budapest, 1988.
(ハンガリー人が勝手にハンガリー語から英訳したもので、訳に関しては責任を負いません (^^;)。と言うか、執筆者としては不満が多いです。)
> ウラル語系では主題-評言型だろうという期待/予測が
> なお続けられて、うれしく思っています。
う〜ん、個人的にはハンガリー語が主題・評言型で、SOVであって欲しいとは思うのですが、実際の言語研究にはそのような予断は有害かも知れません。
http://www.hum.u-tokai.ac.jp/~sitosi/
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