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> ëは、長母音éの短母音、と捉えていいのでしょうか?
> (é=狭いeと覚えているのですが)
ハンガリー語の長母音の é は ë よりもさらに狭くなっており、より i に近く発音されます。それが多くの日本人が é を「イー」[iː] と発音してしまう原因です。しかし、ë はそこまでは狭くなく、日本人には(ちょっと甲高い)「エ」と聞こえます。(「広いe」がだいたい日本語の「エ」です。)スペイン語やポルトガル語、イタリア語等を母語としていた人が話す日本語の「エ」の音がだいたい ë の音です。日本人にはちょっと甲高く聞こえます。舌の下がり方(口の開き方)で言えば、í < i < é < ë < e < á となります。(日本語と違い、ハンガリー語では短母音と長母音は口の開き方が違い、音色も違います。)
ここでまた音素の話になりますが、実はハンガリー語の長母音の é も元々は「広いe」の長母音の ē [ɛː] と「狭いe」の長母音の é が合流したものです。発音は全く同じで、「イー」に近く聞こえる音です。これを『ハンガリー語では「狭いe」と「広いe」の長母音は中和化される』と表現します。「狭い ë」はハンガリー語の話者の多数派が区別していますが、長母音に関してはハンガリーの圧倒的多数の地域では「狭いe」と「広いe」の区別が無くなってしまいます。しかし、北ハンガリー(現在スロヴァキア領)のパローツ方言等では、「狭い ë」の長母音と「広いe」の長母音が区別されています。「広いe」の長母音の発音はほぼ日本語の「エー」です。
ブダペスト方言では、
szél [seːl]〜szélt [seːlt] 「端(を)」
szél [seːl]〜szelet [sɛlɛt] 「風(を)」
ですが、パローツ方言では、
szél [seːl]〜szélt [seːlt] 「端(を)」
szēl [sɛːl]〜szelet [sɛlɛt] 「風(を)」
のように発音されます。
> 私は以前Kiskunhalasに一年間住んでいたのですが、ëとeの発音に関しては全く気付きもしませんでした。
Kiskunhalas ならば「狭いe」は区別しているんじゃないかしら? しかし、2つの e は、最初から正書法では区別されていませんし、そういう違いが存在すると知らなければ、気付くはずもありません。日本語でも通常の「が」と鼻濁音の「か゜」は、正書法上区別されませんので、日本語を学習する外国人どころか、最近は、元々鼻濁音を区別していた東京の人々も若い世代は区別できなくなりつつあります。
要は、ハンガリー語の「狭いe」と「広いe」の区別にしても、日本語の鼻濁音にしても、そういうものが区別されていると知ったときに「そうだったのか!」と驚き、「じゃあ、何が何でも修得してやろう!」と思うタイプの人(圧倒的少数派)と「何じゃそれ? そんなの聞いたこともなかったよ。なんか面倒くさいことを言うヤツもいるようだけど、そんなの気にすることなんかないじゃん」と思うタイプの人(圧倒的多数派)の二種類がいるのだと思います。もしも dzsun さんが前者ならば、何とか頑張って「狭いe」も修得すれば良いし、後者ならば、気にされる必要はないのではないかと思います。
> 先ほどカンテムス児童合唱団によるEsti dalのCD演奏を聴いてみましたが、やはり聞き取るのは難しいようです・・・
ちょっとカンテムスのCDが見つからないので、申し訳けありませんが、今は確認できません。でも、区別しているのかどうか。1つの合唱団の中でも区別している者としていない者がいると思います。(これも日本語の鼻濁音と同じです。)
Balázs Géza: A média nyelvi normálja: „Magyar Nyelvőr”, 2000. január-március, 124. évfolyam 1. szám もご参照ください。
http://www.hum.u-tokai.ac.jp/~sitosi/
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