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ハンガリー語の『正書法辞典』(用字用語辞典)類で説明を逃げている
例を紹介しましょう。
例えば、ハンガリー語には szú(木食い虫)という単語があります。 こ
の語の活用(曲用)を『Helyesírási Tanácsadó Szótár』という辞典で調
べてみます。 すると、「szú, szúja, szúi」のように用例が記されていま
す。 szúja は「〜の木食い虫(単数)」、 szúi は「〜の木食い虫たち
(複数)」の意味です。 ところが、szú の対格形(目的語形)と複数形は
記載されていません。理由は、szút であるべきなのか szuvat であるべき
なのか、szúk であるべきなのか szuvak であるべきなのか判断が付かない
からです (^^;)。 語形から言えば、直感的には szuvak, szuvat, szuva,
szuvai が正しいように思えます。しかし、なぜかハンガリー語では誰もが
そう 活用してしまうのには 躊躇するのです。 複数形にする時には
szú-félék のように表現して 逃げます。(szuvak のような語形が躊躇さ
れる理由は、szú の昔の語形が *suβa ではなく、*suγa であったらしい
ことで説明が付きそうです。)
もう1つ例を挙げましょう。これは卑語扱いなので『正書法辞典』等に
は掲載されていませんが、ハンガリー語には baszakodik という -ik 動詞
があります。 これは baszik という卑語に反復相の派生辞 -kod-/-këd-/
-köd-/ を付けたものです。“Në baszakodjál!”と言えば「(ふ)ざけん
なよ!」という意味になります。相手が目上の場合は、乱暴な表現を使う
場合でも“丁寧な乱暴表現”を使うことになり、3人称で活用することに
なります。baszakodik は -ik 動詞ですから、文法的には命令法の3人称
単数主体活用では“Në baszakodjék!”となるはずです。しかし、現実に
は、“Në baszakodjon!”という通常の動詞と同じ非 -ik 活用にしないと
滑稽になってしまいます。-ik 動詞を正しく活用してしまうとあまりにも
丁寧になりすぎて、この乱暴な表現の意味との齟齬をきたしてしまうから
でしょう。日本語ならば「ざけるじゃありませんのよ!」みたいな感じに
なってしまうと言えるでしょうか? こういうことも、どの文法書にも
載っていませんね。
以上のような、本で調べても、まずわからないし、ネットで質問しても
誰も答えてくれないであろう事柄についてこの掲示板で質問してくださる
と嬉しいです。なお、ハンガリー語学習者の皆さんは、まず、この掲示板
で質問する前に、ご自身が教えを受けている先生方にお尋ねください。そ
こで明確な回答が得られなかった時にのみ、この掲示板をご活用いただけ
ればと思います。
http://www.hum.u-tokai.ac.jp/~sitosi/
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